どの会社も避けては通れない想いの言語化。特に組織が大きくなっていくフェーズにおいてはブレずにスピーディーな経営を行う上で必須なのではないでしょうか。
そこで「ミッション・ビジョン・バリュー誕生秘話」では、いろいろな会社に「ミッション」「ビジョン」「バリュー」をどうやって作ったのかお話を伺います。第1回目は人生経験のシェアリングサービス『another life.』を展開する株式会社ドットライフの代表取締役の新條さんにお話を伺いました。
ミッション
やりたいことをやる人生を、あたりまえに
ミッション設定の背景:目的を共有できない人と働くことは長期的な不幸を生む
新卒で入社した会社において「会社が何を目指すのか、何のために存在するのか」に共感していない人が多数所属していて、離職も多い現状がありました。会社とは自然発生的に起こるわけではなく、同じ目的を共にする人のチームであると考えていたので、違和感を感じていました。また、目的を共有できない人と働くことは長期的な不幸を生むという気づきもありました。
そこで、会社を立ち上げる前に、行う事業の詳細や対象の市場などではなく、何のための会社なのかをまず言語化することにしました。
決定までのフロー:在職しながら一人で
ミッションの言語化は独立前、在職しながら立ち上げる事業の準備を進める中で一人で行いました。自分が社会に対して感じる違和感の言語化や、何を理想とするのかの言語化をしていったイメージです。
前職で入社1年目のタイミングで、会社の未来を考え、ビジョンの要素やワードを決めていくというビジョン策定PJTがあり、そこで考えていた「次の社会の基盤やルール、仕組みを作る」ということが軸になりました。
しっくりくる言葉を考えていた中、最終的にはVCが主催していた資金調達のセミナーを聞いているときに、脈略なくふっと降りてきて今の言葉にきめました。
苦労した点:事業・組織をミッションの達成に近づけていくこと
特段、ミッションを決める過程での苦労はなかったですね。むしろ、事業・組織をミッションの達成に近づけていく難しさの方が圧倒的に感じました。例えば、ユーザーの人生は変わっていても、運営する社内は疲弊し、幸せでいられない、ということも起こりうります。
大志を掲げるベンチャーはどこも同じだと思いますが、壮大なことをうたった分、乖離に苦しむのが常なのかなと思います。特に創業期は目標に対し、理念も経済性も両方満たす最短な道しか考えていないにも関わらず、その道を登り切るだけの実力はないという状況でした。
結果、ミッションと離れると感じることは潔癖的に手をつけず、会社のキャッシュアウト危機が複数回。「道徳なき経済は罪悪であり 経済なき道徳は寝言である 」という言葉を身につまされました。
解決方法:道筋を潔癖に定義しすぎない
懇意にしているアドバイザーの方に言われたことですが、ミッション達成への道筋を潔癖に定義しすぎないことが大事だと感じます。まだまだ経営者としての課題は山積みですが、ミッションへの道筋を広く許容したことで結果的には登るスピードは上がった実感があります。