ベンチャー事例に学ぶ社員マネジメント術。~裁量を広く任せ、忍耐に徹する。~

■このリザルト(日報)を書く背景

今日はチームマネジメントの難しさを痛感したエピソードがあった。それを現在新規事業チームのリーダーでマネージャーをしている菅沼さんに相談し、もらったアドバイスから。

■現状のチームと目標

現在、自分はインバウンドマーケティングチームというマーケティング会社であるLIFE PEPPERへの案件相談数を最大化し、利益を生み出すタネを作るチームのリーダーをしている。

チームメンバーは、今泉、小池、おばてぃー、りょうちん、げっち、ゆう、Jona3、岡田、厚海と、みんな兼務で参画している状態。

自社への案件相談数を目標とする中で、組織全体としては、目の前のお客様の対応や、新規案件への提案など、すぐに成果につながりやすい部分が優先度が高くなりがちな構造。

これ自体はベンチャーという少ない人数のマーケティング会社の宿命ではあるかと思う。

そのため「いかに、短時間で案件相談数を増やすためのクリティカルな打ち手を打てるか」を突き詰めている。

ただこの数ヶ月の課題としては、ここから先12ヶ月で20名ほどの採用を予定している事から、新規案件相談数を月間50件ほどから150件ほどまで1年で引き上げる必要がある事。

こうなるとリーダーの自分が、一人でいくらもがいても目標数値の達成はできない。

強いチームを作りながら、数値を残していく事が重要になる。

■作りたい「強いチーム」とは

チームにはいろんな形があると思う。

・圧倒的リーダーシップでトップのキレのある意思決定と、迅速な行動を起こせるチーム。
・部署を完全に分けて、それぞれがプロフェッショナルに動くチーム。
・何事も話し合い、ミーティングで意思決定を行うチーム

などなど。

ただ、自分が作りたいチームは「全員が全体最適で考える、全員経営者視点」のチーム。

経営者は常に全体最適で考えるため、ありとあらゆる事を多角的に捉える。レバレッジやシナジーまで考えたり、目標達成に対してクリティカルな打ち手を打つ確率が、1担当者の視点しか持たないメンバーとは比較にならないくらい高い。

メンバー全員がその視点を持つチームを作る事が、組織という文脈での、自分の目標。

■与えられた(与えた)裁量への認識の不一致。

今回、自分がとても反省し難しさを感じたのが、裁量の認識がずれていたことによる、当事者意識の引き上げ失敗。

具体事例でいうと、今日インバウンドマーケティングチームの施策で、ダウンロード用の資料を4人で作成するプロジェクトがあった。

2時間のプロジェクトで

・いかに大きな目的である「新規案件相談数の最大化」を腹落ちしてもらうか?
・腹落ちした目標に対して、自分で行動を決めてもらって、やらされ仕事ではなく、楽しく工夫を凝らすような設計ができるのか?
・自分が作る資料という範囲では、裁量をマックスで渡して、成長の機会にする事ができるか?

という点に気をつけて、会議と作業時間の進行を行った。

■他責思考で仕事をさせてしまった。(正確には100%当事者意識になっていいと伝えられなかった)

目標数値の腹落ちに関しては、現在溜まっているデータの成約率や成約単価などから逆算して、資料が何件ダウンロードされれば理論上は目標売上に到達するのかを伝えた。(そこまで悪くはなかったかなあとは思う)

ただ、実行ベースで「この資料に関しては裁量は君にある」「俺は外部に出したら致命的な損害がある。というケース以外は口出さない」というような、裁量が広いという事を伝えきれなかった。

裁量が広ければ広いほど成長するというのは、僕が常々感じている事。

ただし、今回はここが弱く以下のような声をもらった事から、自分のマネジメントスキルに課題を感じた。

「下書きの資料をもらった段階から、この部分は変更してないんですけど、変更した方が良かったですか?」

■もしも当事者意識100%まで高められたら

これがもしも、資料完成まで裁量を全て持ち、さらにチームの新規案件相談数にも責任を持つ覚悟をさせてあげられていたら。

資料のありとあらゆる部分まで、自分の概念やこだわりを注入し、高いアウトプットを自発的に出すという、まさに経営者のような振る舞いに変わる。

今回は2時間という時間設定のせいで、時間がなくて高いアウトプットが出しづらいことは少しあるが。

それでも言動からどんな気持ちで取り組んでくれているのかな?楽しくやってくれてるかな?自分の力量より少し高いところの目標を渡せているかな?

ということはだいたいわかる。

ここで中間管理職がよく言う「自発的にもっと動いてもらうにはどうしたらいいだろう」状態だ。

■裁量を広く渡したら、一貫してそのスタンスを貫く

ここで別チームを率いるてっちゃんから聞いた話が、「裁量を広く渡したら、一貫してそのスタンスを貫く」という話。

裁量を広く渡す事は、長期的成長のために、短期的なスピードを捨てるという状態を覚悟する事。

多くのマネージャーのミスとして、一度裁量を広く渡しても、自分でやった方が早い事が往々にある状態に耐えきれず、自分がプレイヤーレイヤーまで降りて動いてしまう。アドバイスしてしまう。

この瞬間に、関係性が上司のポジショントークになり、完全な自主性は失われる。

ここがかなり肝で、一度決めたら一貫して、その人の長期成長のために我慢をしなくてはいけない。

この話を聞いて難しいなと思ったが、本当にそうだと思った。なぜならこの裁量の渡し方は、うちの吉田さんがLIFE PEPPERの創業期の経営陣にやってくれていた方法だったから。

今のLIFE PEPPER役員陣は、未熟さはまだまだあるが、当事者意識が100%にかなり近づいている。

4年経った役員でも、完全に当事者意識100%の状態=完全に経営者目線になれているかといったらそうではない。

今は部下を持ったからこそ、この長期的に育てるという視点で、忍耐強く接する事が重要と認識した。

■早速実践。チームの二人のコンセンサス(共通認識の同意)を取りに行く

いきなり全部の権限を「基本的には全て渡すね」と伝えても、戸惑いでしかないと思ったので、伝え方を工夫。

基本的に自己成長の気持ちを強く持っている二人だったので、大きい裁量の中で行動すると成長が早まる事を話した。

ここで納得してもらい、あえて自分は基本的に口を出さずに、任せると伝えた。

こういう伝え方がいいのかわからないし、どれくらいの腹落ち度で伝わったかもまだ分からない。

ただ、一緒に「このプロジェクトは、この広さの裁量でやる?それともここまで狭める?」という話はできた。

ここから日報(リザルト)や言動、行動をみて彼らのマインドセットの健康診断をする。

■感謝と気づき

4年経ってこういうマネジメントを意図的にしてくれていたのかと気づいた。そして、こうやって日報(リザルト)に書く。

自分も二人の成長のために全力をかけて、どうに変化していくのか見るのが楽しみ。(マネジメントを注力していると、こんなに日報を見るのが楽しみでかつ重要な事に変化するのか。と気づいた。)

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