上司として、成長意欲の低い部下に対してはどう対応したらいいでしょうか?

Q . 上司としては、部下全員に成長して欲しいのですが、そもそも成長意欲が低い人がいます。どう対応したらいいでしょうか?

 

A . 経営者やリーダーと話をしていると、「もっと成長してほしい部下ほど、本を読まないし、研修にも参加しない」という話を本当によく聞きます。そして、そんな彼らをなんとかしようと、いろいろと手を尽くすのですが、ほとんど効果が出ずに、「大人になってからの教育は難しいので、採用に力をいれるしかないかと思っています」と、人材育成をあきらめ気味のケースが多いですね。

多くの人がこのような考えに至る要因は3つあります。

・成長意欲の低い人を優先的に成長させることが効果的だという思い込み。
・問題の少ない、レベル高めの部下は大丈夫という油断
・成長意欲の低い彼らをなんとかしてあげなければという感情 

です。
 

でも、残念ながら、この3つの要因からくる、彼らへの努力に対する効果はなかなか出ないのも事実です。

では、どう対応することが組織にとって最適なのか。

まず私が考える前提として

・全員を一度に成長させること、
・成長意欲が低い人を先に成長させること

は、大変難易度が高いということがあります。

多くのリーダーが、自立・自走して自ら成長してくれる部下より、成長が遅くて組織にマイナスな影響を及ぼす可能性のある部下の方が気になりますね。

彼らが成長してくれれば、会社やチームがもっとよくなるのにと考え、彼らにフォーカスしてしまいがちです。

これは、組織でよくいわれる2:6:2の法則でも言えることだと思います。

2:6:2の法則とは「働きアリの法則」とも呼ばれていて、組織内において「上から2割の者が全体の数字の大部分を担っていて、6割は普通で、下の2割はあまり働かない」という現象をそう呼んでいます。

私も多くの組織をマネジメントや指導した経験から、同法則の数値は「ほぼ正しい」という実感を持っています。

今回のケースでいうと成長意欲の高い2割、普通の6割、成長意欲が少ない2割となり、社長やリーダーは下位の2割、成長意欲が少ない2割を、なんとかしたくなるということですね。

しかし、私はその成長意欲が少ない2割に対して時間と労力をかけるのは、組織全体のことを考えて効果的ではないと思っています。

なぜなら、成長意欲がない人に対して「成長したほうがいい」と言っても、なかなか本人の気持ちは変わりません。趣味のない人に「趣味を持ちなさい」と言っても、そう簡単には趣味を持つことができないのと同じですね。

それよりは、成長意欲の高い人に、もっと成長できるような環境づくりをする方が、組織全体を活性化できて効果的なんです。

先ほどレベルの高いメンバーに対しては油断してしまいがちと書きましたが、それは成長意欲の低く組織へ後ろ向きな言動が多いメンバーと比較すると、手もかからないですし、格段によくみえてしまうからです。

しかし、上位2割の人も、「真の経営幹部」と比較すれば、まだまだ当事者意識の伸び代は十分にあり、この層を伸ばすことによって、大きな効果が得られます。元々成長意欲が高い彼らですから、かけた時間と労力に対して十分に答えてくれるのです。

そして、上位2割のメンバーが「真の経営幹部」クラスへとマインドが高まると加速度的に組織は強くなります。それは彼らが、経営メンバーの分身となり、中間の6割や下位の2割に良い影響を与えてくれるからです

ここまでくると今まで、社長一人で全社員に対してマインドアップの活動をしていた状態から、複数の「真の経営幹部」に変身したメンバーも、積極的に人材育成の役割を担ってくれるようになり、効果も格段にあがります。

一般のメンバーからは距離のある経営幹部だけではなく、身近なところで前向きなメンバーが多数いるとことにより、成長意欲が中程度以下だったメンバーも釣られるようにして自分ごとになって行きます。

経営という限られた期間・リソースで結果を出し、お客様や社会へ貢献するためにもこの優先順位の考え方はぜひ心に止めておいてください。

あなたの組織や個人の成長の悩みにお答えします。

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