【イベントレポート】リーダーズ戦略思考塾 第2回「戦略的PR・ブランディング」

事業を急成長させるために重要である「戦略思考」を他社のリーダーと切磋琢磨して学ぶ。そんなコンセプトのもと、成長マインドセット著者吉田 行宏氏が主宰する招待制の公開イベント「リーダーズ戦略思考塾」。第二回のテーマは「PR・ブランディング」です。一見抽象度が高く、何をしたらいいのかわかりづらいPR・ブランディング領域。スタートアップは、いかにして戦略思考を活用すべきか、白熱したイベントをレポート形式でお届けします。

開催概要
日時:9月29日10時ー13時
場所:31VENTURES Clipニホンバシ
テーマ:PR・ブランディング
参加者:30名
運営:リーダーズ戦略思考塾企画・運営チーム

 

PR・ブランディングを効果的に行えば、 広告マーケよりも何倍も効果がある

イベント冒頭、吉田氏よりリーダーズ戦略思考塾の参加の心構えについて話がありました。

 

「どんな心構えで参加するかで学びは全く異なります。一緒にワークショップに取り組む他社のメンバーと仲良くなって、今後も色々と相談できる関係になる、というのも一つです。もともとのテーマの通り、戦略思考を学ぼう、というのももちろんです。

 

ただ、それだけではなく、ぜひこのワークショップ自体がどういう意図で作られたのだろう、という視点を持ってみてください。受講生のみなさんにも学びはありますが、一番大きな学びを得ているのは運営側のチームです。彼らは一回の研修を作るために私から5・6回のフィードバックをもらい、打ち合わせを10回以上繰り返しています。そんな彼らが、どんな目的で、何を狙いとしてこのワークをやっているのかを考えると、非常に学びが深いと思います。是非、当事者意識をもって参加していただけるとありがたいです。」

 

運営チームにバトンタッチした後は、今回の会の位置付けが説明されました。今回フォーカスするのは、PRやブランディング。

 

なんとなく重要だという認識は持ちながらも、


・そもそもPR、ブランディングとは何か、はっきりとわからない

・抽象的で、効果があるのか不明

・社長や広報室に任せていて、会社のPRのことはよくわからない

 

という課題を持つ方も多い分野。運営チームからは、2回目のテーマにPR・ブランディングが選ばれた理由として、「ブランディング・PRは効果的に行えば、マーケティングや広告よりも何倍も効果がある」という点を挙げました。

イントロの説明が終わり、いよいよワークの開始です。

自社のPR・マーケティングについてどれくらい取り組めていますか?

一つ目のテーマは「マーケティング、PR、ブランディングの違いで理解するブランドイメージ」。まずはそれぞれの手段の違いや、その結果として得られるブランドイメージについての説明がありました。

前提の整理を行なった後、実際に個人ワークに取り組みます

会場参加者に簡単なアンケートをとると、10点中5点以下の会社が多数。「マーケティングは注力していたけど、PRはいまいち取り組めていなかった」などの声が挙がります。

 

続いて、よりわかりやすく理解するため、PR・マーケティング・ブランディングを恋愛に例えた説明がありました。プレゼンテーターの身内話も挟まり、会場は温かな雰囲気に。

その他、究極のブランディングの事例として、マーケティング、PR、キャスト、 パーク、全てを通じて 「夢と魔法の王国」を実現する東京ディズニーリゾートが紹介されました。

 

最後に、このパートを通じて伝えたかったこととして「マーケティング・PR・企業活動の全ては、ブランドイメージを意識しながら行う必要がある」というメッセージを共有し、1つ目のセッションは終了です。

自社のPR施策とブランドイメージは一致していますか?

二つ目のテーマは「ブランディングとPR施策の関係性」。まずはそれぞれワークに取り組みます。

個人ワーク、班での共有を経て、議論での気づきをシェアします。参加されたスタートアップでは、50-75%の一致度の層が多かったようです。

ワークが終わると、このパートのメッセージとして、「ブランドとPR施策は一気通貫で連動する」ということが伝えられました。

そして、具体的な構造を理解するため、ブランドの構成要素についてフレームワークの説明がありました。

上の丸はターゲットユーザーの視点で、下の三角がブランドイメージです。ブランドイメージは3つの要素で構成されます。吉田氏の「アイスバーグ理論」のように、価値や機能が充実したプロダクトでも、うまくその情報を発信できないとユーザーには届かなかったり、正しいイメージで伝わらなかったりすることは多々あります。

今回は成功例としてdysonの掃除機、失敗例として2年で撤退したファストリテイリングの子会社が提供した野菜の定期販売サービス「SKIP」などが紹介されました。

最後に、PR・ブランディングを行う際に陥りがちな失敗について話があり、改めて、一気通貫することの重要性が説明されました。

ブランドイメージにそって、バズらせる

第三部からは、「Twitterバズらせ選手権」と題して、これまで学んだ内容を具体的にアウトプットに移す実践フェーズに入っていきます。

まずはじめに、発信手段としてのTwitterのメリットが挙げられました。

その上で、先ほどのブランドの構成要素の図に沿って、「ネタ」・「切り口」の例について説明があります。

そして、今回の施策を考える上で重要な要素は、ブランドとの一致度を保った上でバズらせる、という考え方。

 

 

具体例として、喫煙者を採用しない方針を明示して多数ニュースに取り上げられたケースや、反対に、観光プロモーションにイメージのそぐわない芸能人を起用した結果、炎上し逆効果になってしまったケースなどが紹介されました。

いよいよ実践編。自社のブランドイメージに沿った上で、ネタ・切り口を考え、実際にツイート文を考えます。まずは15分の個人ワークの後、班の中で発表。評価者は、リツイートしたいか、ブランドイメージと合っているかどうかで順位づけを行います。

班での優勝者が決まった後は、各班の優勝者のtweetを全体に紹介し、参加者の中でもっともバズる認定を受けるtweetが決まりました。

会場の評価を最も得たのは、海外マーケティングを行うLIFE PEPPER社の都所さんが考えたtweet。訪日外国人に人気のリアルマリオカートを任天堂が訴訟した近日のニュースをネタに、インバウンドへの思いやマーケ切り口の分析を行い、会場からは共感の声があがりました。

最後に、同セッションの結びとして、全く逆のアプローチとして、強引でもメディアに露出させる、という考え方が紹介されました。実際に、あるベンチャーでは、大学のOB名簿からメディア関係者に徹底的に連絡、インターン生がメディアハブとなる企業に潜入するなど、泥臭い動きを行なったことで、当時の売上の35%を1人のPR担当があげるまでに至ったそうです。

「全員PR」のすすめ

最後のパートのテーマは「全員PRのすすめ」。従来、社長や広報室のみがPRを行なっていましたが、先のtwitterのように、PRは誰でもできます。会社全員で取り組むことによるメリットが大きいため、これからは役職や立場問わず、全員でPRを行なっていく必要があるという説明がありました。

一方で、統率なく発信され、ブランドを毀損するリスク、工数がかかり、途中で継続しなくなってしまうなどの課題も想定されます。そこで、最後のワークとして、全員PRを会社に根付かせるための課題と打ち手を、各会社単位で考える場が設けられました。

参考事例としてPOL社が取り組む「話せば記事になる戦略」(オンラインアシスタントサービスを活用し、インタビューを受けたら記事ができる状態にする)「発信するやつがかっこいい戦略」(発信を幹部の目標に含める)の二つが紹介されました。

会場からは

・PRにおいて、何を語るかに目が向いてしまい、誰に届けるかという視点が弱かったことに気づいた。

・PRとはなんなのかしっくり来ていなかったが、社員が外に発信する、接する活動は全てPRになりうることがわかった。営業と同様に全員で徹底できるようにしたい。

などの感想がシェアされました。

吉田氏からは、

戦略は思考力のスキル面だけでなく、勝ち・価値にこだわるという想いや、日報などで気づきや学びを発信していく習慣化、などアイスバーグの全ての部分に関わる。PRに関してもアイスバーグ全てを意識しながら行動、習慣化していくことが重要。

というまとめがありました。

最後に、運営チームからの学びや気づきの共有がありました。

・以前よりPR、ブランディングに興味はあったががうまくいかない状況だった。しかし、前のめりになれたら色々なことがうまく進み始めた。みなさんも今回の気づきを前のめりに生かして行ってほしい

・大きな2つ学びがあった。一つ目はワークの設計。最初に作った案は「ブランドとは」という抽象的なもので、それだけ伝えても参加者は具体的な行動に移さないというフィードバックをもらった。吉田さんのワークショップの設計の仕方が非常に勉強になったので自社でも生かしていきたい。PR・ブランディングというテーマに関しても、改めてユーザー目線を考え抜いて実行することの重要性を体感した。

・「開催する側が一番成長する」「今回の場は研修ではなくマネジメントだと捉えている」という吉田さんの言葉が印象的だった。今回参加された数十人のリーダーの方、そのチームにいる数倍のメンバーの方にどう成長してもらい、継続してもらうか、そこまで含めてマネジメント。そこまで考えた上でコンテンツを考える運営側は非常に学びが深かったです。今後、学んだことを生かし、自社にとっての吉田さんのような立ち位置にになれるようにしたいと思った。その視点を持つには社内の中でも小さい実践を繰り返す必要があると感じた。

・今回の開催側のファシリテーターの当事者意識の高さはすごかった。朝8時半に集合し、発表中にもスライドが進化し、みなさんにより学びを持って帰ってもらうために自発的に行動できていること、そういう会にできていることがすばらしかった。内容としては、自分たちオリジナルのフレームで切り取ることの重要性を感じた。抽象化の過程で頭を使うし、自ら生み出したものは愛着をもって忘れない。最後に、今回の参加者アウトプットが素晴らしかったので、ぜひ自分との差や感じたことなどを個人で振り返ってほしい

・戦略思考力とは何かがクリアになった。戦略思考力とは、「成果を出すために必要なことを考え抜く力」だと腹落ちした。今回の研修までに5・6回吉田さんフィードバックをもらう中で、抽象的な話はもちろん、実行フェーズでの解像度の違いが大きい。スライド一字一句や、それをXXさんが見たらどうだろう、など、成果を出すために細部までこだわり抜く力が大きな差だった。そして、それを短時間でできるということが「思考力」なので、磨いていくために身近な対象についても戦略的に考える習慣を徹底したい。

 

最後に、吉田氏より、次回のお知らせがありました。

戦略思考塾といいつつ、運営側はマネジメントがめちゃくちゃ勉強になっています。毎月繰り返して少しずつ進化しているので、次回も楽しみにしています。次回は採用戦略。どの会社にとっても最優先課題なのでテーマに扱います。

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