社員のモチベーションが、研修やイベントなどで一時的に上がっても継続しません。どうしたらいいでしょうか?

Q . 社員のモチベーションが、研修やイベントなどで一時的に上がっても継続しません。どうしたらいいでしょうか?

モチベーションに関する話をする上で、私が考える2種類の変動曲線の図を、まずご紹介したいと思います。

一般的に考えられているモチベーションは、曲線1のような軌跡を描くことが多いと思います。何かしらのイベントやきっかけによりモチベーションがあがりますが、時間とともに、あるいはネガティブなことが起こってまた下がってしまいます。上がったり下がったりを一定周期で繰り返す傾向がありますね。

つまり、短期間でモチベーションの上下が続いているだけということです。この状態では、モチベーションの底上げはされておらず、低いレベルのモチベーションが一定範囲内で変動していて、その範囲を超えることも、上がったレベルにずっととどまることもありません。

一方、曲線2の場合、一旦上がったレベルは、多少下がっても最初のレベルに戻ることはありません。さらに次のステージに上がった場合も、同様に高いレベルにとどまる傾向があります。

この、曲線1と曲線2の違いはなんだと思いますか?

私は

曲線1 は外的要因に依存したモチベーションの変化

曲線2 は内部のマインドセットの変化によるモチベーションの変化

であると考えています。

外的要因に影響を受けたモチベーションは、根本的に変化しているわけではないので、時間の経過やネガティブな外的要因により下がってしまいます。

それに対して、内部のマインドセットが成熟して、レベルアップした場合は、行動する動機が信念に基づくものなので、容易に下がることがなくなります。

よく「マスターはモチベーションが下がることはないのですか?」と聞かれることがあります。もちろん私も人間ですから、体調や感情でまったくモチベーションが上下しないわけではありませんが、信念や使命感で発言、行動することが多く、外部からの刺激に依存していないので、他者からあまりアップダウンがなく見えているのかもしれません。

では、社員のモチベーションを曲線2の状態にするためには、どうしたらいいのか。ポイントは、評価制度やイベントといった社内制度や外的要因だけで社員のモチベーションや意識を高めるのではなく、社員自身の当事者意識や自己成長意欲、自責の意識といったマインドセットを高めることが大切だと思います。言い換えると社員の外発的動機ではなく、本質的な内発的動機を喚起することです。

社員のマインドセットを高めるためには、社員1人ひとりと向き合い、彼らの想い・哲学・軸に触れるような話をしたり、成長の原理原則や本質とは何かを全員で考え、会得する機会をつくることが重要だと思います。「成長マインドセット」でもそのことについて書かれていますので参考にしてみてください。

経営者にとって、社員のモチベーションをいかにして上げるかは、大きな悩みかもしれません。なんとかしなければと思うほど、わかりやすい給与や評価、研修、社内イベントに目がいきがちになります。

もちろん評価制度や社内イベントなども必要だと思います。心理的安全性の確保や社内のメンバー同士でのコミュニケーション向上や、人間関係をよくする一定の効果はあります。しかし、それだけでは、持続的に意識やモチベーションを高めることは難しいのです。

私は、ご依頼いただいて社員やリーダー研修をすることが多いのですが、社員のみなさんのマインドセットに触れ、自ら気づいていくような場を作ることを心がけています。

誰もがつい他責にしてしまう傾向があることや、自分自身で気づかないうちにプライドが邪魔をしているといった、本人の癖を理解してもらいます。人は強制されて成長することはできないため、自覚を促し、自発的・主体的な姿勢を持てるよう、子育てのように愛情を持って見守って行くことが必要になるのです。

あなたの組織や個人の成長の悩みにお答えします。

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